さて、騎手の一分です。

著者の藤田伸二さんは現役のジョッキー。それも実力ある現役ジョッキー。
競馬界に多大な貢献をしてきたジョッキーだけに、言葉の重みはかなりのものがあるはず。藤田さんだってそのへんはわかってるはず。やんちゃなイメージのある藤田さんですが、競馬に対する姿勢は紳士そのもの。

そんな騎手の模範たる藤田さんがここまで本音を書いてしまった同書。
問題提起ってレベルではないでしょ。
俺は熱烈な競馬ファンってことはないけど、昔は血統を見ればどこまでも親を言えるようなファンだったりした。
今の競馬界がどうなってるのかいまいち理解してなかったけど、藤田さんの話を読むと、どうなってるんだ?って感情が湧き出てくる。

JRAは競馬をどうしたいのだろう。
競馬は、もちろん競走馬がいなければ成立しない。その競走馬の生産数は激減している。
競馬は、ジョキーがいなければ成立しない。ジョッキーになるには、競馬学校の騎手過程を卒業する必要がある。その騎手過程を受験する人数が、一時期の2割にまで減少しているそうだ。

憂慮すべき問題だと思う。
でも、JRAからは問題意識が伝わってこない。

悲しいよね。
成熟した世界ってのは、崩壊に進むしかないのかな。
もう競馬界は、数年前に成熟を迎えていたと思うんだ。
だとすると、このまま落ちていく未来しかないのかもしれないね。

利権とか、安定とか、そんなものが無い時代、まだ競馬界が混沌としていた1970年代から1980年代が一番おもしろかったのかもしれない。
そう思うのが、昔を懐かしむ年寄りの戯言であってほしいとは思うけど、おそらくこれ以上はどう盛り上げようとがんばっても、無駄だと思うよ。

JRAが気づかなかったら、15年もつかどうか。
この15年ってのは、武豊の行く末だと思ってるんだけどね。
武豊という、競馬界に大きな影響を与えた人物をもっと大事にしないと、これ以上は浮上できないと思うな。

JRAには猛省してほしい。

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