将棋の子 (講談社文庫)
2013年7月30日 読書
この本は読んでよかった。
本当によかった。
高校生や大学生、就職にうまくいかない人、人生に迷いのある人、自分に自信が持てなくなっている人全員に読んでほしいです。
読む前は、将棋のプロを養成する機関「奨励会」について書かれた本だろうなぁとしか思ってたなかった。軽い気持ちで読んでみた。
そんな内容じゃなかった。
冒頭から重い。
冒頭で描かれるシーンは、将棋のプロになった青年について描写されているんだけど、普通ならそこに重さは感じないはず。
長い期間、苦労して、研鑽を積んで、念願が叶った瞬間なのだから、もっと笑顔に、喜びに溢れた描写であっていいはず。
しかし、重い。
そこに描かれているのは、自分の努力や技術とは離れた次元で、運命に身をまかせるしかなかった、仲間でありライバルでもある奨励会員が負けることで得られる「プロ」への道。
全ての力を使い果たし、全てを出し尽くした結果を知って、一度は諦めたプロの道が、それまで切磋琢磨してきた仲間の負けによってのみ開けるという事実。
冒頭部分で、この内容です。
半端な覚悟じゃ読めないな。そう思った。
奨励会に所属している人は、全国から集まった天才。将棋の大会や道場でずばぬけた成績を残せた者だけが在籍できる厳しい場所。
それでも。
奨励会に所属すれば、「ただの天才の一人」としてあしらわれる。
一般人から見れば、華やかな世界に繋がる場所だとしても、そこに煌びやかな世界は全くない。
俺は思い違いをしていた。
こんなにも厳しく、激しく、切ない場所だったとは。
冒頭部分から、話は奨励会を退会していった青年達にスポットをあてて語られる。幼い頃から将棋に没頭し、20代半ばまで将棋が生活の中心だった人が、ある日を境に将棋のプロを諦めなくてはいけない日を迎える。
一般人であれば、年齢と供に、学年が上がるにつれて、次第に自分の仕事について考え始める。それは、ある程度時間をかけて、自分を納得させ、折り合いをつけて学生から社会人へと踏み込んでいける。
対して。
彼らは将棋のプロになることのみを全てとして、青春時代を過ごしている。自分の仕事は将棋を指すこと、それ以外に考えていない人が、将棋のプロになれずに一般人と同じ土俵に出るようになってしまう。
葛藤。苦悩。努力。
色々な思いが渦巻く中で、彼らのとった行動が、奨励会員を長い期間見続けてきた筆者の、暖かい思いのこもった文章で組み上げられていく。
読み進めていくと、本当に涙が流れそうになるくらい切ない話です。
ですが、そこに描かれている世界でもがき、苦しんでいる彼らの気持ちは、どこまでも純粋で、人として成長するための姿が嘘偽り無く書かれていると感じます。
将棋を知らなくても読めます。
お盆休みに、一度ゆっくり自分の人生を振り返る時間を作ってみてください。
本当によかった。
高校生や大学生、就職にうまくいかない人、人生に迷いのある人、自分に自信が持てなくなっている人全員に読んでほしいです。
読む前は、将棋のプロを養成する機関「奨励会」について書かれた本だろうなぁとしか思ってたなかった。軽い気持ちで読んでみた。
そんな内容じゃなかった。
冒頭から重い。
冒頭で描かれるシーンは、将棋のプロになった青年について描写されているんだけど、普通ならそこに重さは感じないはず。
長い期間、苦労して、研鑽を積んで、念願が叶った瞬間なのだから、もっと笑顔に、喜びに溢れた描写であっていいはず。
しかし、重い。
そこに描かれているのは、自分の努力や技術とは離れた次元で、運命に身をまかせるしかなかった、仲間でありライバルでもある奨励会員が負けることで得られる「プロ」への道。
全ての力を使い果たし、全てを出し尽くした結果を知って、一度は諦めたプロの道が、それまで切磋琢磨してきた仲間の負けによってのみ開けるという事実。
冒頭部分で、この内容です。
半端な覚悟じゃ読めないな。そう思った。
奨励会に所属している人は、全国から集まった天才。将棋の大会や道場でずばぬけた成績を残せた者だけが在籍できる厳しい場所。
それでも。
奨励会に所属すれば、「ただの天才の一人」としてあしらわれる。
一般人から見れば、華やかな世界に繋がる場所だとしても、そこに煌びやかな世界は全くない。
俺は思い違いをしていた。
こんなにも厳しく、激しく、切ない場所だったとは。
冒頭部分から、話は奨励会を退会していった青年達にスポットをあてて語られる。幼い頃から将棋に没頭し、20代半ばまで将棋が生活の中心だった人が、ある日を境に将棋のプロを諦めなくてはいけない日を迎える。
一般人であれば、年齢と供に、学年が上がるにつれて、次第に自分の仕事について考え始める。それは、ある程度時間をかけて、自分を納得させ、折り合いをつけて学生から社会人へと踏み込んでいける。
対して。
彼らは将棋のプロになることのみを全てとして、青春時代を過ごしている。自分の仕事は将棋を指すこと、それ以外に考えていない人が、将棋のプロになれずに一般人と同じ土俵に出るようになってしまう。
葛藤。苦悩。努力。
色々な思いが渦巻く中で、彼らのとった行動が、奨励会員を長い期間見続けてきた筆者の、暖かい思いのこもった文章で組み上げられていく。
読み進めていくと、本当に涙が流れそうになるくらい切ない話です。
ですが、そこに描かれている世界でもがき、苦しんでいる彼らの気持ちは、どこまでも純粋で、人として成長するための姿が嘘偽り無く書かれていると感じます。
将棋を知らなくても読めます。
お盆休みに、一度ゆっくり自分の人生を振り返る時間を作ってみてください。
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