読み終えてしまった・・・。

なかなかに、一気に読ませる魅力をもつ内容でした。

この本を知ったのは、地元の新聞の書評欄に掲載されていたことです。最近では、時代小説のようなものでも、まずは読んでみようと思うのですが、はたしてこれは時代小説なのだろうか?SFといえば、そうとも思える。

妖草師。それは、常世の国から稀に現世にやってくる種から生える「妖草」をあるときは利用し、あるときは根絶する職業。この設定だけでも、SFの匂いが漂ってきそうですが、緻密な描写と実在の人物の登場により、話があまり浮世離れしないことが素晴らしい。

妖草を扱う、この世に復讐を企てる女と、主人公であるが、心に深い闇を持つ妖草師。最後は息をもつかせぬ激しいバトルの描写となりますが、見たことのない妖草を用いてるのにもかかわらず、ありありとその様子が想像できてしまいます。このあたりは作者の文章構成の素晴らしさでしょうか。

また、この本の作者は「植物」に深い愛情を持ってるのでは、と思うくらいに植物の説明が詳細に書かれていることも見逃せません。バトルもの、という括りにはなると思うのですが、途中に描写される植物が合間の清涼剤のように感じられます。

文庫書き下ろしとのことですので、是非とも続編を期待したい1冊でした。

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